イギリスの大学留学徹底ガイド

連合王国(United Kingdom)はイングランド、スコットランド、ウェールズおよび北アイルランドから構成されています。その正式名称はUnited Kingdom of Great Britain and Northern Ireland(グレート・ブリテンおよび北アイルランド連合王国)。イギリスといえば、バラの咲くイングリッシュガーデンやお城、歴史と伝統のある町並み、優雅な紅茶タイム、カントリーサイドの豊かな自然といったことが思い浮かびますね。ブリテッシュロックやパンクなどの最先端な文化と伝統で趣のある重厚な文化が混在し、さまざまな魅力が溢れる国です。

イギリスの基本情報

正式名称:グレートブリテン及び北アイルランド連合王国
英語名:アメリカ合衆国
面積:約24万Km²(日本の約2/3)
人口:約6,700万人
人種:ゲルマン民族系のアングロサクソン人、ケルト系スコットランド人、アイルランド人、ウェールズ人また、インド系、アフリカ系、アラブ系や華僑なども多い他民族国家。
首都:ロンドン
言語:英語(ウェールズ語、ゲール語使用地域あり)
時差:日本より-9時間。 3月最終日曜から10月最終日曜まではサマータイムで、時差は8時間になる。

イギリスの気候

天気は1年を通して安定せず、また1日のうちでも変わりやすく、朝は晴れていても午後の天気は予測がつきません。サマータイムの間は午後4時ごろから明るくなり、午後9時ぐらい活動がしやすいですが、冬は午後4時くらいには暗くなります。

イギリスの教育機関の種類と特徴

900年以上の歴史をもつイギリスの大学教育。大学以外にも多くの公立カレッジで、レベルの高い高等教育を受けることができます。

大学

イギリスの大学教育はハイヤー・エデュケーション(Higher education)と呼ばれ、学士号以上のコースを提供しています。

総合大学であるユニバーシティ(University)は100校あり、1校を除いたすべてが公立です。ユニバーシティは、ケンブリッジ大学などに代表される「Old University」と、1960年以降に設立された職業教育を中心とした「New University」に分かれ、こういった大学以外でも、公立カレッジで提携大学の学士号コースを取ることができます。

イギリスの学士号にはひとつの分野を深く勉強するSingle Honours Degree、複数の分野を同時に学べるJoint/Combined Degreeなどの種類があります。イングランドとウェールズの学位取得期間は通常3年間。コースの間に1年間の職業研修が含まれる場合は4年間となり、医学・建築学など専門職の資格に結びつく分野では5~7年が必要となります。

大学のコースは細分化されており、日本の大学に比べるとより専門的になっているのが特徴です。一般教養課程がなく1年次から専門を学ぶので、特定の科目を深く学びたい人に向いているといえます。

日本の高校卒業後に留学する場合は、まずファウンデーションコース(Foundation Course)と呼ばれる大学進学準備コースで専門分野の基礎を学ぶのが一般的です。したがって、進みたい分野がはっきりしている人向けといえます。

公立カレッジ

イギリスの公立カレッジには、主に職業訓練コースを提供するファーザー・エデュケーション・カレッジ(Further Education College)と、学士号を含む高等教育を提供するハイヤー・エデュケーション・カレッジ(Higher Education College)があります。

ファーザー・エデュケーション・カレッジは、地域の職業教育と社会教育を行う機関で、16歳から入学可能です。いわば、総合専門学校のようなもので、職業に直結した国家資格取得を目的としたコースが多くあります。全くの初心者から手に職をつけることができ、なかには、HND(Higher National Diploma)やFoundation Degreeといった国家資格を取得して、提携大学に編入するコースをもつ学校もあります。

一方、日本でいう大学にあたるハイヤー・エデュケーション・カレッジは学士号取得を目標としたコースがメイン。College of Further & Higher Educationとして、専門コースとアカデミックコースの両方を提供する学校も多くあります。

なお、学士号と修士号を授与できる課程をもつユニバーシティカレッジと呼ばれる高等教育機関もあり、公立カレッジへの留学は、短期間で手に職をつけたい人、専門技術と知識を大学レベルまで高めたい人に向いています。

専門技術に重点を置いたHND、ファウンデーションディグリー他

イギリスの場合は、私立専門学校、公立カレッジ、国立大学のそれぞれで専門技術教育が実施され、充実しています。留学生が公立カレッジの専門技術コースで学ぶことも可能ですし、、ハイヤー・エデュケーション・カレッジなら、専門技術を学んで学位取得を目指すこともできます。

イギリスの国家検定資格は、経営、会計、秘書、美容、医療、建設、エンジニアリング、溶接といったように細かくジャンル分けされています。NVO、GNVO、BTECディプロマなどが代表的な資格であり、こうした資格はEdexcel、RSA、C&Gといった国公認の認定団体によって認定されています。これらの資格の中でも、BTEC HNDやFoundation Degreeは、昇級技術者や管理職の資格ですが、専門技術大学の学部レベルの2年次修了と同等レベルと評価されます。こうした国公認の資格取得は、専門職キャリアへの一種のパスポートともいえます。また、地元イギリス学生にもポピュラーなステップです。

留学生の場合、高校卒業資格と英語力審査でだいたい入学できますが、HND取得コースやファウンデーションディグリーはイギリス人ならGCE-Aレベル2科目以上合格が求められるほど高度なレベルです。

日本の高校卒業から、ファウンデーションコースを経て、ハイヤー・エデュケーション・カレッジのHNDコースやファウンデーションディグリーに進学するという留学コースを選んだ場合は、技術をしっかり身に付けたうえで学士号の取得もできるという大きなメリットがあります。なお、ケンブリッジ英検においてファーストサティフィケートレベルの英語力が判定され、希望する専門において技術者として社会経験がある人は入学が許可されます。

公立カレッジで提供される主な資格取得コース

一般職業資格コース

・ AVCE (Advanced Vocational Certificate of Education – Vocational A-levels)
・ GNVQ (General National Vocational Qualification)/GSVQ (General Scottish Vocational Qualification)
・ BTEC/EDEXCEL First Diploma/National Diploma

特定の職業に必要な実務的・理論的な学習と、大学へ進学して、実際に働き始める前により深い知識を身につけることの二つを組み合わせたコースで。上級レベル修了は、学士号課程に入学するための資格として認められています。専攻分野は、美術・デザイン、アート、コンピュータ、ビジネスなど。入学には、日本の高校卒業とIELTS 4.5〜5.5が必要になります。

高等職業資格コース(大学学部レベル)

・ Foundation Degree
・ Higher National Diploma(HND)
・ Higher National Certificate(HNC)

AVCEやファウンデーション・コースと同様に、高等職業資格取得コースも課題が中心となります。コース内容は、ケーススタディーとロールプレイを通じて実践的なスキルを身につけるもので、優秀な成績を修めた学生は学士号課程の2~3年次に編入できます。専攻分野は、美術・デザイン、エンジニアリング、ビジネス、ホテル経営など。入学には日本の短大、専門学校卒業資格とIELTS 5.5〜6.5が必要となります。

イギリスの高等教育事情

高度で良質な教育システムをもつ国として知られるイギリス。多彩な高等教育機関が揃っており、その扉は留学生にも開かれています。

教育水準が高く、ほとんどが国立大学

イギリスの義務教育は16歳までですが、ほとんどの学生がその後も何らかの学校に進学をします。大学だけでなく、カレッジや職業訓練校など、さまざまな進路が用意されています。イギリスにおける高等教育の歴史はとても長く、オックスフォード、ケンブリッジ、アバディーン、エジンバラ、セント・アンドリュース、グラスゴーの各大学が創立したのは、13〜15世紀にもさかのぼります。

有名なロンドン大学は、30ものカレッジがあり、ロンドンスクールオブエコノミクスをはじめ、高いレベルのカレッジが揃っています。また、比較的新しい大学は、ビジネスやコンピュータなどの分野が盛んで実学をメインにしています。

日本とは異なるイギリスの教育システム

イギリスの就学年齢は5歳。小学校卒業後、中・高校と進学し、義務教育期間を終える16歳になる直前、中等教育の修了試験となる全国統一試験GCSEを受験します。この試験は、数学、化学、英語などの全教科から、自分で科目を選んで受験。これにより、個人の成績(グレード)が判定されます。このGCSEの受験は強制ではなく、個人の自由意思にまかされていますが、ほとんどの学生が数科目を受験します。

公立校の学生の進路は、ファーザー・エデュケーション・カレッジ進学組とシックスフォーム進学組の2つに分かれます。

ファーザー・エデュケーション・カレッジは、職業教育を提供する学校。シックスフォームは、2年間の大学進学準備課程であるGCE-Aレベルの受験コース。ただし、ファーザー・エデュケーション・カレッジでもGCE-Aレベルの受験コースを実施しています。

学士号の履修は3年 日本の一般教養課程がない

イギリスでは、学外実習をプラスしたサンドウィッチコースの履修者や医学などの学部以外、学部の修了年限は3年間。Aレベルでアメリカや日本の大学の一般教養科目や専門関連に相当する科目を履修していることが前提となっているからです。

留学生にファウンデーションコース履修が要求されるのは、イギリス人のAレベルに相当する科目を履修していることが求められているため。留学生はファウンデーションコースで、進学を予定している専攻に合わせて必要な基礎科目を履修し、最終試験で結果を出さなくてはなりません。

なお、日本の短大か大学1・2年を終えていれば、教養課程修了とみなされ、ファウンデーションコースの履修は免除される可能性があります。しかし、日本の大学での履修科目がこれから専攻したい学科の履修科目として認定されるかどうかは事前に確認する必要があります。

「創造」を大切にする国 芸術系の大学も充実している

イギリスは、ファインアートやハードロックを生み出した芸術の国としても知られており、「創造すること」を大切にする国。芸術系の学校もたくさんあり、とくにファッションやデザイン、音楽といった、クリエィティブな分野が充実しています。

ファーザー・エデュケーション・カレッジは、地元密着・職業直結型の教育機関で、イギリス人は16歳以上で入学します。ハイヤー・エデュケーション・カレッジは、18歳以上のため、留学生はファウンデーションコースを経なくてはいけない。芸術系の大学は、出願も入学審査も他学科とは違い、作品提出や実技が試験に含まれています。

日本のブリティッシュ・カウンシルが毎年多数のアートスクールが参加するフェアを開いており、留学を希望する人たちの相談に応じています。

イギリス名門大学の代名詞 Oxbridge(オックスブリッジ)

オックスフォード大学とケンブリッジ大学はイギリスでもっとも古く、もっとも権威ある2つの大学で、他の大学と異なる点が多くあります。オックスフォード大学の創立は1214年、ケンブリッジ大学の創立は1284年とされています。これらは、いずれも30を超えるカレッジのうちの最初のものが創立された年で、その後の長い歴史によって現在のような大きな規模になっています。人文科学のオックスフォード、自然科学のケンブリッジとも言われますが、両校ともさまざまな分野にたくさんの傑出した人材を輩出しています。スポーツの対抗戦では、ダークブルーのオックスフォードとライトブルーのケンブリッジとの応援合戦も話題です。オックスフォードもケンブリッジもロンドンの北に位置する古都で、石造りの美しい大学の建造物はイギリス観光の主要なスポットにもなっています。入学難度はもちろんAAA。イギリスの大学共通入学願書受付機構であるUCASに出願する他に、もう一通直接願書を提出させる格式を誇り、また両大学に同時に出願はできないしくみなのです。高校卒→ファウンデーションコース→オックスブリッジというステップは不可能に近いですが、日本の大学卒や大学院からは数多くの留学生が在籍しています。

高校卒業後のイギリス留学への道のり

日本の高校を3月に卒業したら、9月のファウンデーションコース開始に備えて、英語力アップに力を注ぎましょう。

高校卒業後すぐの大学入学はかなりの難関

イギリスの学校には、日本のような卒業も入学試験もありません。イギリス人にとって勉学の証となるのは、GCSEとGCE-Aレベルの試験のグレードであり、これが大学に入学申請する際の個人の成績となります。この2つの試験は、受験資格に年齢制限もなく、何度でも受けられ、留学生も受験できます。イギリスの中等教育を終えている外国人であれば、イギリス人と同じ統一試験を受けて進学資格を得ることができます。

大学側は、GCSEとGCE-Aレベルの成績がない留学生に対して、高校卒業資格をGCSEとして認定。また、GCE-Aレベルにあたるのは短大修了か大学1・2年次の教養課程修了としています。大学の入学審査には、書類選考と面接が実施されますが、ほとんどがGCSEとGCE-Aレベルの成績で決定します。試験を受けていない留学生にとっては高校卒業後すぐにイギリスの大学に入学することはかなり難しいと言えます。

確実に進学を目指すならファウンデーションコースへ

ファウンデーションコースとは大学進学準備コースのことで、「アクセスコース」または「ブリッジングコース」とも呼ばれています。GCE-Aレベルを受験していない人たちに大学への門戸を開く制度です。入学条件は高校卒業資格とIELTS5~5.5程度。このコースの多くは留学生が対象で、英語力アップに重点が置かれています。

ファウンデーションコースでは、英語学習とスタディスキルの修得、そして将来専攻する予定の基礎科目の履修を行います。

留学生を対象にしたコースは通常1年間で、前半の半年で英語力を強化し、後半の半年間をスタディスキルの修得と専門基礎の学習にあてます。すでに英語力がある人は、後半の半年間だけでコース修了を認めるケースもあります。

ファウンデーションコースの学校の選び方

ファウンデーションコースは、大学や公立カレッジが附属機関として運営しているケースが多いですが、私立の独立系もあります。このコースを選ぶ際にチェックしておきたい項目は次の5つ。

学校選びのチェックポイント

1. 附属または提携の大学への入学が保証される成績はどの程度なのか。
2. 成績を満たせば、イギリスの全大学への進学が可能なのか。
※ファウンデーションコースは、学部入学を保証してくれるわけではないので、入る前に希望大学への入学が可能かどうかを確認しましょう。
3. 大学で専攻する予定の科目に関連する基礎科目を履修できるか。
4. 私立校の場合は、BACの認定校になっているか。
5. 特定の分野に特化したコースではないか。

アート系ファウンデーションコースの場合は、留学生だけが対象ではなく、ポートフォリオの作成も含めて大学学士課程進学への準備となります。

英語力の基準はIELTSが使われる

留学生がイギリスの学部入学を希望した際、大学側は審査基準として、IELTS(アイエルツ International English Language Testing System)を適用。各大学は、IELTSのスコアを明らかにしています。

アメリカでTOEFLが英語力の目安とされているように、イギリスではIELTSのスコアが英語力の判断基準とされています。学部に入学するためには、一般的に6~7.5が必要とされ、ファウンデーションコース入学希望でも5は目安。ただ、カレッジによっては、4.5でも受け入れOKだったり、入学時は英語力不問としたりする学校もあります。また、IELTSのスコアでなくても、ケンブリッジ英検やTOEFLのスコアでも可、としている学校もあります。

IELTSにはアカデミックモジュールとゼネラルモジュールがありますが、留学生が受験するのはアカデミックモジュール。試験内容は、リーディングとライティングが各60分、リスニング30分、スピーキング15分。結果は、1から9の0.5刻みで評価され、最高レベルは9でネイティブ並みです。

TOEFLとIELTSは要素がかなり異なり、単純に比較できないですが、IELTS5はTOEFL450(133)程度と捉えられています。IELTSは日本でも受けられるので、近い将来イギリス留学を視野に入れている人は受験して自分の英語力を知っておきましょう。

 

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