アメリカの大学留学徹底ガイド

北アメリカ大陸中央部の大西洋と太平洋に挟まれた本土以外に、大陸北部のアラスカ、太平洋のハワイ諸島、アリューシャン列島が国土となっています。さらに本国の他に、プエルトリコやグアム島などを領有。50州、1特別区(連邦政府直轄地)からなっており、資本主義、民主主義、共和制、大統領制、二院制を採用している連邦国家の1つで、建国から200年ほどの国です。グランドキャニオンをはじめとする国立公園の壮大な自然が点在している一方で、ディズニーランド、ラスベガスなどのエンターテイメント等も充実していて、さまざまな魅力が豊富にあります。

アメリカの基本情報

正式名称:アメリカ合衆国
英語名:United States of America
面積:約962万8000Km²(日本の約25倍)
人口:約33億人
人種:白人77.7%、アフリカ系13.2%、アジア系5.3%、アメリカ先住民1.2%、ハワイ先住民0.2%、その他2.4%
首都:ワシントンD.C.(Washington D.C.)
言語:主に英語
時差:東部時間(Eastern Time)の日本との時差は-14時間、中部時間(Central Time)は-15時間、山岳部時間(Mountain Time)は-16時間、大平洋時間(Pacific Time)は-17時間。4月の第1日曜日から10月の最終土曜日までは夏時間(Summer Time)を採用しており、上記よりそれぞれ1時間早くなります。

アメリカの気候

日本の25倍もの広さを持つため、北と南では全く気候が異なります。太平洋岸は1年を通して気温差が少なく、大陸部は夏と冬の気温差が大きいです。

アメリカの教育機関の種類と特徴

2年制と4年制、あわせて4,000校以上もの大学があるアメリカ。
大学の充実度は世界一です。

2年制の大学

アメリカの2年制大学(Two-year Colleges)は約1,800校。公立のコミュニティカレッジと私立の短大があり、短期のプログラムも充実しています。通常2年間の学部課程で準学士号を取得することができます。

留学生に人気のコミュニティカレッジ

公立の2年制大学はコミュニティカレッジ(Community Colleges)と呼ばれ、主に地域住民の税金で運営されています。特色は、広い分野にわたる技術・職業訓練を目的とした「職業教育コース」と、4年制大学に編入するための「進学コース」を提供しているところです。年齢層が広く、生涯教育の場としても利用されています。また、州や地域によっては、高校中退者にも門戸を開放し、高校レベルの補習教育の後、正式にコミュニティカレッジのプログラムで学べるところもあります。授業料が安く、入学に必要な成績や英語力の基準が4年制大学より低いので留学生にも人気です。手に職をつけたい人や、4年制大学へのステップアップを考える人にぴったりです。

ジュニアカレッジから4年制大学へのステップアップ

私立の2年制大学はジュニアカレッジ(Junior Colleges)と呼ばれ、宗教関係団体によって運営されているものと、独立した組織によって運営されているものとがあります。主に4年制大学への編入目的の一般教養コースを提供しており、中には編入率が高い大学も。授業料はコミュニティカレッジより高いですが、小規模で学生寮を備えた学校も多くあります。アットホームで、ケアの行き届いた環境で学びたい人向けと言えるでしょう。

4年制大学

4年制大学は公立、私立合わせて約2,300校あります。総合大学、リベラルアーツカレッジ、単科大学の3つに大別され、学生数が1,000人以下の小規模なものから、5万人が通う大規模なものまでさまざまです。通常4年間で学士号を取得できますが、薬学・工学・建築学など、中には修了に5年かかる場合もあります。

総合大学の専攻分野は多種多様

総合大学はユニバーシティ(University)と呼ばれ、州が予算を出す公立大学と、学生の授業料や寄付で運営される私立大学があります。研究者養成を目的として設立され、多彩な専攻分野や学位プログラムを提供している点が特徴。公立大学は、学生数2万人以上の大規模校が多く、その敷地面積も広大です。州の住民に入学の優先権があるため、州外扱いとなる留学生は授業料が高く、入学審査基準もやや厳しいのが一般的です。私立大は州の内外関係なく授業料はやや高めで、大規模でも学生数2万人以内の小規模の大学が多い傾向です。
アメリカの総合大学は専攻分野が細分化されており、日本で学べないものも数多くあります。卒業までに必要な取得単位は増えますが、途中で専攻分野を変えることはもちろん、関連分野で副専攻(Minor)を持ったり、ダブルメジャー(Double Major)で同時に2つの分野を専攻することも可能です。また大学から大学への編入もできるので、「大学には進学したいが、まだやりたいことがはっきりしていない」という人にはおススメといえます。

東部に多いリベラルアーツカレッジ

リベラルアーツカレッジ(Liberal Arts College)は教養学部だけの大学です。一般教養で学士号を取得することもできますし、専門分野を学び、その専攻で学士号を取得することもできます。多くは学生数1,000〜3,000人の小規模大学で、学生に対するケアが行き届いていることと、教授が研究より教えることに力を注いでいる点が特徴です。留学生にとっては高額な授業料であることが大きな負担にはなりますが、田舎や郊外にキャンパスを構える大学が多く、寮や設備の面など申し分のない環境なので、静かに勉強に打ち込みたいという人に向いています。

専門を究める単科大学

単科大学(Specialized College)は、ビジネス、音楽・アート・ダンス等の芸術系、建築、エンジニアリング、看護学等の専門分野の教育を提供している大学です。芸術・建築系の大学への入学には、英語力や成績の他に、個人の能力・技能を示す作品提出やオーディションが義務付けられる場合があります。学びたい専門分野がはっきりしていて、専門性の強い授業についていける人にぴったりの大学です。

専門学校でも大学で学ぶと同様の勉強ができる学校もある

アメリカの専門学校は、日本とはかなり雰囲気が違い、学位や資格の取得を目指す学生たちが学んでいます。課程は、1年、2~4年などさまざまですが、多くは「インスティチュート」、「カレッジ」という名称です。修了証書(1~2年間)、准学士号(2年間)、学士号(4年間)、その上の修士号まで認定できる専門学校がたくさんあります。

4年課程まである専門学校として、日本人にも人気が高いのは、バークリー・カレッジ・オブ・ミュージック。音楽関連のビジネス教育機関として知られる私立のカレッジで、ボストン郊外にあります。1年間のディプロマコースから4年制のディグリーコースまで用意されています。サマープログラムには、世界中から学生が集まります。その他、ファッションデザインを学びたい学生に人気の、ニューヨークにあるパーソンズ・スクール・オブ・デザインなど多くの専門学校があります。ポートフォリオの提出と課題の作品製作、面接により入学が審査されます。

 

教育機関の名称 入学に必要な条件 取得可能な学位・資格
コミュニティカレッジ 高校卒業以上
英語力:
TOEFL 133(450)以上が目安。
TOEFL 97(400)で入学可の学校もある。
準学士号
Certificate
Diploma
ジュニアカレッジ 高校卒業以上
英語力:
TOEFL 133(450)以上が目安。
準学士号
Certificate
Diploma
総合大学 高校卒業以上
英語力:
TOEFL 173(500)以上が目安。
学士号
Diploma
リベラルアーツカレッジ 高校卒業以上
英語力:
TOEFL 173(500)以上が目安。
学士号
Diploma
専門/単科大学 高校卒業以上
英語力:
TOEFL 173(500)以上が目安。
ポートフォーリオの提出やオーディションを
求められるケースあり
学士号
Diploma準学士号
Diploma
(学校による)

アメリカの高等教育事情

アメリカは、日本人が希望する留学先No.1です。多くの人が留学先として選んでいますが、その高等教育システムを充分理解したうえで、決めましょう。

日本と違う入学システム、何より大切なのは成績

アメリカの大学には、入学試験がありません。大学側は、受験生の入学申請書類を審査し、合否判定を行います。入学試験を一斉に行う日本とはまったく異なるシステムですね。合格者には「アクセプタンスレター(Letter of Acceptance)」つまり入学許可証と「I-20(学生ビザ申請に必要)」が送られてきます。書類審査の基準は、大学ごとに異なり、合格者の定員なども明らかにされていません。ただ、各々の大学のカタログや公式サイト、市販されている大学名鑑などには、入学審査基準がかなり明確に公開されているのでしっかり対策を立てることができます。

学歴は、高校卒業以上なので、日本の高校を修了していることが必要です。高校3年間の成績が学力の審査基準となるので、3年間すべての成績を大学に提出します。大学側はそれを所定の計算方式でGPAに換算して評価します。つまり自分の成績をGPA換算してみれば、その大学の合格基準に達しているかどうか、知ることができるというわけです。ただ、日本の場合、同じ評価5であっても、レベルの違う高校Aと高校Bではかなりの差があるというのが本当のところ。レベルの高い高校の出身者は、自分のエッセイや先生からの推薦状で、そうした事情を説明したほうがよいかもしれません。

専攻科目は多彩で職業直結型 入学後に決めてOK!

アメリカの大学は「実学」がメイン。伝統的に社会に必要とされる研究分野に合わせて学部学科が組まれており、現在も学科が増え続けています。たとえば、コミュニケーションの分野には、スピーチ、レトリック、公開演説、討論(Speech, Rhetoric, Public Address, Debate)といった専攻があります。また、ソーシャルサイエンスの中には、女性学(Women’s Studies)や平和研究(Peace Studies)などの新しい学問分野も設置されています。

アメリカの社会では、日本やヨーロッパのように働く現場で学び、修得するといったことはあまりありません。つまり、こうした専門分野は大学で勉強してこないと就職ができない場合が多いのです。こうした事情もあり、大学の授業では実社会のシミュレーションを行うケーススタディやプラクティカルトレーニング(実習)が重視されています。そのため、大学を卒業して社会人になってからも、アメリカ人はたびたび大学に戻り、将来自分の就きたい職業に必要と思われる科目を、できる限り大学在学中に履修しようとするのです。

アメリカの学士号は、文系のB.A.=Bachelor of Arts(バチェラー・オブ・アーツ 文学士号)と理数系のB.S.=Bachelor of Science(バチェラー・オブ・サイエンス 理工学士号)の2種類です。卒業するときにもこのような大枠しかないので、入学時には枠は存在しないと考えてよいでしょう。Freshman(1年次)は、基本的な教養科目を履修するだけで終わってしまいます。

Sophomore(2年次)になると主専攻(メジャー)を決め、その専攻に必要な科目を履修。しかし主専攻は、Junior(3年次)になってからでも変更することができ、副専攻(マイナー)を持つことも、ダブルメジャーにすることも可能です。

専攻が細かく分かれているので、自分がやりたいことが決まっている学生には非常によいですが、テーマが未定の人にはやりにくいという欠点もありますね。自分が学びたいことをしっかりと考えて専攻を選ぶようにしましょう。

専攻の変更や他大学への転校は意外と簡単

教養課程となる大学の前期課程(1・2年次)は、学部も決まっていないのでかなり自由です。後期課程になり、専攻を決め、専門科目を履修し始めると、必修の教養科目があったり、専門科目の中でも段階的に履修していかなくてはならない科目が出てきます。どの科目を取っておけば次へ進めるのかきちんと知っておかないと、後で単位が足りなくて困ることになります!

専攻に合わせた科目履修は複雑で分かりにくいので、留学生は特に注意するようにしましょう。多くの大学には、留学生アドバイザーがいて、世界各国から来ている留学生のために、勉強や進路、生活面まで、あらゆる相談に応じてくれるので安心です。

コミュニティカレッジから編入するときには、履修した単位を大学で認定してもらいます。そのため、4年制大学へ進学する予定で、コミュニティカレッジに入る人は、編入したい大学の専攻で認めてもらえる科目をリサーチしておき、そうした科目を履修しておくことが大切です。

また、他の4年制大学から編入するときも、転入時に前の大学で履修済みの単位を申請することになりますが、全単位が認定されるとは限りません。自分からしっかりとアピールをして手続きをすることが何より重要です。

高校を卒業していない、そんな時には……

アメリカでは、どこの大学も「高校卒業」を入学の審査条件としているので、留学を希望するなら、高校卒業の資格を取ることが第一条件となります。通信制の高校や定時制高校でも卒業すれば高校卒業資格が得られます。また、大検(大学受験検定)を受けてもよいでしょう。大検合格は、アメリカでも高校卒業資格として認められるため、ほとんどの大学に入学申請ができます。GPAも出せるので自分の成績を知ることも可能です。ただし、一部の大学では、高校3年間の3年分の成績を審査対象とするので、大検合格では内容不足ということになり、受け入れてもらえないケースもあります。注意しましょう。

また、可能性は低いですが、日本の高校卒業資格がなくてもアメリカの大学へ留学できるケースもあります。コミュニティカレッジの中には、高校中退者のためのプログラムを開講している学校もあるからです。高校2年を修了していれば、高校卒業資格と准学士号が同時に取得できるコースもあります。ただ、こうした学校も、入学時にはTOEFLのスコアを求められる場合も多いので、日本で高卒資格をとっておいたほうが良いでしょう。アメリカでは高校のランクより卒業資格や在学中の成績が重視されるので、高校卒業というのはとても大切になります。

高校卒業後のアメリカ留学への道のり

まず、英語力を身に付けて憧れのアメリカの大学へ。条件付き留学というシステムもあり、努力すれば道は開けます!

英語力の他に必要な入学条件とは?

すべての大学は入学に必要なTOEFLのスコア、GPA、SATのスコアなどの提出が必要です。GAPは、願書に申請者が記入するようになっている大学もありますが、本来は提出する成績証明書に基づいて、大学側が換算するもの。高校3年間のすべての成績を集計するのが一般的ですが、大検によって高校卒業資格を得た場合は、試験の成績を換算します。TOEFLは、従来のペーパー式試験のスコアでも認めてくれる大学や、TSEのスコア提出を求められる大学もあります。

英語力がなくても大丈夫?条件付き入学とは?

日本の高校生の平均的な英語の学力は、高校卒業時にTOEFL350~380と言われています。アメリカの大学には、留学を目指しているが、英語力が足りない外国人留学希望者のために、条件付入学というシステムがあります。
これは、入学申請をする際にTOEFLのスコアが不足していても、仮に入学許可をもらい、その後に英語を集中的に勉強してスコアを規定レベルまで上げれば、正式に学部生として認められるというものです。

この条件付入学のメリットとしては、以下のようなことがあげられます。

1.渡米する前に大学の入学許可証でビザが取得できる。
2.目標が定まっているので、留学後の英語研修に集中できる。
3.大学生として滞在できるため、気分的にも安心 

ただ、条件付入学は、あくまでも「英語のスコアが上がったら」という条件付き。当然、期限が設定されていて、期間内にTOEFLを受験し、規定のスコアに達しなかったら仮入学は取り消しになるので、しっかりと英語力をアップする努力が必要になります。

2年制大学から4年制大学への編入も可

アメリカの大学へ留学する日本人の80%がコミュニティカレッジ経由で学部進学に成功していると言われています。英語の勉強をある程度したら、まず4年制大学よりも入学に必要なTOEFLのスコアが低めのコミュニティカレッジにまずは入学します。コミュニティカレッジに在籍している間は、英語で学部の授業を受けているので英語力アップが見込めます。編入の時までに4年制大学入学に必要なスコアまでアップさせ、コミュニティカレッジ卒業後に大学の3年次に編入します。2年間の課程を修了すれば、准学士号が取得できます。
留学当初から大学編入を計画しているのならまずは、進学したい大学を決めておくほうがいいですね。そして、その大学へ編入がしやすいコミュニティカレッジに進学。一般的に同一州内のコミュニティカレッジから大学への編入はしやすい傾向にあります。

コミュニティカレッジを選択するときに注意したいのは、人文系教養科目や理数系基礎科目が開講されていないカレッジは大学編入には不利だという点。4年制大学への編入を目標としている人は、「トランスファーコース」を開いている学校を選ぶようにしましょう。このコースでは、大学学部前期課程の共通科目の多くが受講でき、編入の指導も行っています。

編入時には、大学入学申請と同じ書類がすべて必要となりますが、「編入であること」をはっきり表記しましょう。編入手続きには、通常の入学とは別の指示があるためです。また、編入が認められたら、すぐに単位の移行をしましょう。単位認定を受けることが、編入の重要なポイントとなります。

コミュニティカレッジで履修した単位は、大部分が大学編入時に単位認定されますが、すべての単位がそのまま認められるかどうかは難しいです。学校により開講している課程や単位、プログラムが違うというのが、その理由です。

 

 

GPAが低い場合はどうしたらいい?

オール3でGPAは2.0、できれば2.5ほしい コミュニティカレッジの成績を換算してUP

GPAの換算式に自分の成績を当てはめて計算してみましょう。高校時代の成績が悪いようなら、GPAの提出を必要としないコミュニティカレッジに入り、そこでがんばって成績をあげて、高いGPAにする手もあります。GPAは在校した高校の中での成績を換算するものなので、在学した高校がトップランクの高校だった場合、中位の成績でも、レベルの低い高校の上位者より数字が低くなるという不利が出てしまいます。そういう時は、高校ランキングで上位校であることなどを説明して評価を求めることが必要です。

 

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