カナダの大学留学徹底ガイド

世界で二番目に大きな国土を有し、ロッキー山脈、ナイアガラ瀑布など、広大な自然の風景が有名。また、移民が多く、多様な民族と人種、文化の入りまじった文化はモザイク文化と呼ばれています。世界で初めて正式に多文化政策を導入し、カナダ人の18%がカナダ以外の国で生まれた移民です。カナダは国連のランキングで、世界でもっとも住みやすい国のひとつとされています。自然とアウトドア派にはウィスラーでのスキーと夏のアクティビティ、バンクーバー島でのホエール・ウォッチング、イエローナイフのオーロラ観測、都会派にはバンクーバー、ビクトリア、トロント、モントリオールといった街々でのグルメ・ショッピング・エンターテイメントの楽しみがあります!

カナダの基本情報

正式名称:カナダ
英語名:Canada
面積:約9971000k㎡(日本の約27倍)
人口:約3,725万人
人種:ヨーロッパ系白人が76.7%がを占めています。アジア系、先住民、黒人系、アラブ系などさまざまな人種が暮らしています。
首都:オタワ
言語:英語、フランス語
時差:太平洋岸標準時(PacificTime)の日本との時差は-17時間、山岳部標準時(Mountain Time)の時差は-16時間、中央標準時(Central Time)は-15時間、東部標準時(Eastern Time)は-14時間。大西洋岸標準時(AtlanticTime)はマイナス13時間、ニューファンドランド標準時(Newfoundland Time)は-12時間30分。4月の第1日曜日から10月の最終土曜日までは夏時間(Summer Time)を採用しており、上記よりそれぞれ1時間早くなります。

カナダの気候

太平洋沿岸(バンクーバー、ビクトリア)、カナディアン・ロッキー(バンフ、レイク・ルイーズ、ジャスパーなど)、中部平原・湖岸地方(ウイニペグ、トロント、ナイアガラなど)、東部・大西洋沿岸地方に分かれ、バンクーバーやビクトリアなどでは、冬でもめったに雪は降りません。

カナダの教育機関の種類と特徴

カナダには、90の学位取得を目的とした教育機関と職業訓練もできる150のコミュニティカレッジがあります。

短大

カナダでカレッジ(短大)といえば、主にコミュニティカレッジを指します。ほとんどが州立で、規定の単位を修得すると、修了証書のサーティフィケート(Certificate)やディプロマ(Diploma)が取得可能です。カレッジの名は州によって異なり、その内容もさまざまです。

例えば、ブリティッシュ・コロンビア州のコミュニティカレッジでは、2年間で必要単位を修得すると準学士号が取得できます。また、オンタリオ州には、College of Applied Arts & Technology、またはCollege/Institute of Technology & Advanced Learningと呼ばれるカレッジがあり、学士号を出す学校も増えています。

コミュニティカレッジには、大学編入を目的とした「ユニバーシティ・トランスファー・プログラム」と、就職を目的とした「職業訓練コース」があり、少人数クラスで対話方式の授業を行っている点が特徴です。入学基準が大学より低いので、ここを足掛かりに、難関といわれるカナダの大学を目指す留学生も多いのです。

全てのカレッジがこの両コースを持つわけではありませんが、進学を考える人、手に職をつけたい人、どちらにも適した留学先といえます。

大学

カナダの大学には州立と私立があり、学位を取得できるのは総合大学と学位授与権のあるカレッジの約90校。大学への入学資格は一般に高校卒ですが、ケベック州のように高校卒業後、CEGEPという短大で2年間勉強しなければ、大学への進学ができないところもあります。

カナダの大学は、プログラムの規模や取得できる学位から見て、大きく次の3つのタイプに分類できます。

1.大学院博士課程のある大学

大規模な総合大学で、大学院、医学部、工学部をもっています。修士課程だけでなく、ほとんどの大学で博士課程が備わっている点が特徴。高度な研究活動を中心とした環境で学びたい人向けの大学と言えます。

2.大学院レベルの学部大学

1.のタイプ同様、高度の研究や大学院でのプログラムを重視していますが、ほとんどのところが医学部を置いていません。学部・大学院レベルのクラスで、MBAなどの学位を含む幅広いプログラムを持っています。1.より規模が小さいので留学生にも馴染みやすいと言えます。

3.学部教育を重視する大学

学部を特定のものに限定して集中的に教育する大学で、全学生数3,000人程度の規模で、人文系学部が充実しているのが特徴です。20〜30人程度の少人数クラスが多いので、行き届いた指導が期待できます。質の高い学部教育を受けたい人に適しています。

ユニバーシティカレッジ

ユニバーシティカレッジ(University College)とは、文字どおり大学とカレッジ(短大)の両方の性質を備えている教育機関のことです。ここで学士課程の教科を修得すると、学位がそのカレッジまたは提携大学から授与されます。2年間で準学士号を取得することも可能で、大学進学過程を終了した学生は、大学の2年または3年に編入できます。また、職業訓練コースが豊富で、技術専門の学科を修了すると、技術習得証明書・修了証書・卒業証書が取得できます。ほとんどが地方都市にあり、大学より小規模で親しみやすい点も特徴。教授を身近に感じながら専門知識と技術を習得したい人向けと言えます。

教育機関の名称 入学に必要な条件 取得可能な学位・資格
コミュニティカレッジ 高校卒業以上
英語力:TOEFL 197
(527)以上が目安。
準学士号
certificate
diploma
ユニバーシティカレッジ 高校卒業または18歳以上
英語力:TOEFL 213〜230
(550〜570)が目安。
準学士号
学士号
certificate
diploma
4年制大学 高校卒業以上
英語力:TOEFL 213〜250
(550〜600)が目安。
学士号

カナダの高等教育事情

カナダは、世界的にも教育先進国として知られている国です。平均的に教育水準が高く、じっくり勉強したい人に向いています。

カナダのほとんどが公立校

カナダは、10の州(プロビンス province)と3つの準州(テリトリー territory 政府直轄だが自治が認められている地域)で構成されています。カナダの州は自治力が強く、教育の権限も州ごとの教育省に委ねられており、独自のシステムで運営しているのが特徴です。特にフランス語圏であるケベック州は、固有の教育制度をもっています。

大学は93校あり、大学(ユニバーシティ)と学位授与権のあるカレッジに分類されます。大学のほとんどが公立校で州立。ユニバーシティカレッジは数が少なく、小規模な学校が多いです。2学期制(9月、1月)が大半ですが、3学期制(9月、1月、5月)の大学もあり、学部課程は3年から5年で学士号を取得することができます。5月から8月の夏休み期間には、多くの大学で夏季プログラムを実施します。

大学間の差はなく比較的難易度は高い

カナダの大学は、研究機関としても学生指導の質の高さにおいても、世界的に見て高いレベルにあります。アメリカやイギリスほど高くはありませんが、カナダ人の大学進学率は上昇しきています。また、大学学部から大学院への進学率は高く、このことは、それだけ大学がアカデミックで学位取得者のレベルがとても高いことの証しとも言えます。

カナダの公用語は、英語とフランス語。大学生はどちらかを第2言語として学び、その上で3つ目の言語を外国語として勉強することがほとんどです。

大学は小規模校で1,000人未満、大規模校になると3〜4万人で平均すると3,000人程度。カナダ全体の大学生数は50万人といわれています。人文科学系、自然科学系とも学術レベルが高いカナダは、大学の入学難易度は高くなっています。大学の授業はとても厳しく、カナダの大学生は熱心に勉強に励んでいるのです。また、高校生の学力も高い水準にあり、ユネスコが実施する世界の高校学力検査でも、3〜4位にランキングするほどです。

カナダでは、大学進学希望者のステップは州によって異なります。オンタリオ州はイギリスと同じ方式で、高校11・12年制に大学進学コース(academic program)を選択し、6科目以上の単位を取得しなければなりません。一方、ブリティッシュ・コロンビア州はアメリカと同じで、7年間の初等教育、5年間の中等教育を受けた後、大学へと進学します。

法学や医学、歯科医学などアメリカのプロフェッショナルスクールに相当する学科は、カナダ社会のニーズに応える実践的学問と位置づけられているため、留学生の受け入れを制限している大学もあります。

授業料(留学生対象)は年間CA$5,000〜15,000程度と大学によって異なります。ブリティッシュ・コロンビア大学とトロント大学はやや高めと言えます。

コミュニティカレッジの目的は職業訓練と大学編入準備

コミュニティカレッジの勉強には次の2つのコースがあります。

①専門教育や職業訓練のコース
ビジネス、コンピューター、芸術、福祉など幅広い分野の専門技術が学べる。

②大学進学準備コース
教養科目や専門基礎、カレッジスキルを学ぶ。学部3年次編入のためのアカデミックコースと予備コース(プレパレーションプログラム)

1.専門教育や職業訓練のコース

ビジネス、会計、コンピューターといった経済界で働くスキル、調理、美容、機械整備など実務で役立つ技術を学ぶことがメインですが、ファインアートや心理学などを教養として学ぶコースも開講されています。また、教師や看護師など3年間の職業専門資格コースも設置されています。

どのカレッジも1〜2年で履修するディプロマ取得コースが中心ですが、6カ月〜1年のサーティフィケート取得コースや2年間のアソシエイトディグリー取得コースを開講している学校もあります。

2.大学編入/アカデミックコース

このコースは、ユニバーシティ・トランスファー・コースともいい、4年制大学専門課程へ編入するため、1〜2年次に相当する教養科目を履修します。また、中等教育を12年生(18歳)まで受けなかったために大学進学資格がないカナダ人や、留学生のための進学準備プログラムであるカレッジ・プレバレーション・プログラムも開講されています。留学生がこのコースに進むには、TOEFL500(173)が必要です。

コミュニティカレッジはカナダ全土に200校近くあり、ユニバーシティより授業料がリーズナブルとなっています。

職業につなげる勉強は私立専門学校でもできる

私立の専門学校は、トラベル・ツーリズム、コンピューターグラフィックス、ゲームソフトクリエイター、ファッションモデル、バーテンダーなど、バラエティ豊かなコースをラインナップしています。時代をリードする人気ジャンルが揃っているのがカナダの専門学校の特徴でしょう。

カナダの私立専門学校は、企業が運営しています。学校法人としての制約や規定がないため、業界の動きに合わせてプログラムやカリキュラムを自由に組めるので、各学校がそれぞれ特色を打ち出しています。ワーキングホリデービザで渡航した場合は、専門分野の勉強と就労体験を同時にできるので、こうした専門学校をぜひ活用したいですね。

大学で取得できる学位

大学の学部修了で学士号、大学院の前期課程修了で修士号、後期課程修了で博士号が授与されます。また学部にディプロマやサーティフィケートの修了資格を与える1~3年コースを開講している大学もあります。単位制をとっていますが、履修すべき単位数は州、大学、学部によって異なります。一般に学士号取得課程は3年間。さらに1年の課程を経てオナーズ(Honour’s Degree)の修了資格を授与する大学もあります。学士号取得後、さらに2年間の修士課程を学んで修士号を取得します。修士号取得後は、産業界など各界で活躍する人が大半。研究職を目指す人だけがさらに博士課程に進学をします。博士課程には3~5年をかける人が多いです。

学士号
Bachelor’s Degree
学部の専攻に合わせた必修科目、選択科目を履修して卒業に必要な単位を取り、レポート提出や定期試験に十分な成績をあげて、取得する大学卒業資格。
修士号
Master’s Degree
学士号またはオナーズディグリーを取得したあと、大学院の修士課程(前期課程)に進学し、修士論文提出ならびに面接試験による審査を受けて、授与される。1〜2年。
博士号
Ph.D.
博士号はドクター・オブ・フィロソフィ(Doctor of Philosophy)の略で、ピーエイチディーと呼ばれる。博士課程に在学中は“Ph.D.candidate”と名乗ったりする。

高校卒業後のカナダ留学への道のり

カナダは、学生ビザが取得しやすい国ですが、大学留学にはTOEFLの高いスコアが必要なので、まず英語(語学)学校からスタートしましょう。

カナダの大学への留学はかなりの難関

大学の入学審査には、高校の成績とTOEFLのスコアが大きく影響します。多くの大学がTOEFLのスコア600(250)を求めており、このスコアは、アメリカの一流大学院が要求している数字と同レベルです。

カナダの大学進学希望者は、グレード11(日本の高校2年)から自分の専門課程の勉強を始めるので、高校卒業時には日本の大学1年程度の学力を身につけています。また、高校の成績も5段階評価で平均4以上(3年間)でないと、GPAのポイントに到達しないといわれているほど難易度が高くなっています。つまり、日本の高校生が卒業時にカナダの大学にストレートで入学するのは、語学力の問題を除いても超難関なのです。

コミュニティカレッジの場合は、高校での成績はそれほど重視されませんが、TOEFLは500(173)〜500(213)のスコアが必要です。

英語力不足ならESLから入学時期にも注意

カナダの大学やコミュニティカレッジには、付属の英語コースがあります。教室はキャンパス内にあり、学期も大学に準じているところが多いです。ほとんどの英語コースは、無条件で入学できますが、一部の学校は初級レベルの学生は受け入れていません。

コミュニティカレッジへの進学を希望している場合、カレッジの英語コース(ESL)から始めるのがベストでしょう。ESLは外国人向け英語コースなので集中して勉強でき、一般英語と違い、大学の講義に焦点を当てたカリキュラムもあります。

新学期は、大学もコミュニティカレッジも9月から。9月と1月が学期始めとなる2学期制が大半ですが、コミュニティカレッジでは、9月、1月、5月の3学期制を取っている学校もあります。留学生には、新入生オリエンテーションが充実している9月入学が適しています。

 

資料請求